この住宅は、藤沢市に近い横浜郊外の市街化調整区域です。
市街化調整区域ですが昭和45年以前の宅地開発された地域であるため、都市計画法43条の許可を受けた物件です。
敷地が102m2である為、狭小宅地の形態緩和も受けました。狭小宅地は都心だけでなく、高度成長期に郊外にミニ開発された地域にも見られ、その頃建て替え時期になっている建物も多く、今回はその一例です。
また郊外ですが狭小宅地の為、防災・耐震・耐久・防音の点から、クライアントの強い希望により鉄筋コンクリート造壁式で建設しました。
敷地面積102m2、許容建築面積60m2、許容延床面積100m2に2世帯(但し、設備的機能は一世帯)という条件の建物です。
この厳しい与条件の中で、2世帯が楽しく生活するためにはどうしたらよいかと考えた結果、今回の住宅でのポイントは、それぞれのプライバシーの確保でした。
外とのプライバシーの確保のためには両隣地に垂直に立つ結界の壁(ちょっとオーバーですが)、道路側は車と人を導入する(行き止まりの為車の出入りを考えて)ために丸い壁を設けました。この2つの壁をダイナミックにコンクリート打ち放しで設け、外に対して適度に開きつつ閉じることで外とのプライバシー確保が出来ました。
内部は1階に2世帯が集うたまりばスペースを設け、2階の若世帯のたまりばとを小さな吹抜でつなぎました。この吹抜により気配を感じつつ、それぞれのプライバシー確保とコミュニケーションを図ることが可能になり、また駐車場と奥の親世帯の和室との間に小さな坪庭を設け、家族の帰宅の気配も感じられるように考慮しました。そして2階も同様に客用の和室と若世帯のたまりばから連続するバルコニーとを適度に離れた関係を保つよう配慮しました。
作品No.13 上飯田の家 2000年竣工
敷地面積 102.00m2(30.85坪)
建築面積 55.56m2(16.84坪)
延床面積 99.54m2(30.11坪)