作品No.32 由比ヶ浜の家

 

この家は鎌倉由比ヶ浜近くの閑静な住宅街にあります。

施主はサーファーのデザイナーで母と2世帯住宅です。

■外観

外観は、2つのPrivate SpaceBoxと中間領域Home PublicSpaceと屋根を3分割した。

道路面には2つのPrivate SpaceBoxを箱型に突き出させ2世帯を強調させ、Private SpaceBox奥の部分は、それぞれが由比が浜の青い空に向かって突き刺さるような屋根形状をとり、湘南の強い光をPrivate Spaceに取り入れた。縦長スリット窓で「湘南の空に向かって」をより強調した形で表現した。

『湘南の風土と由比ケ浜の風景を意識した家』を目指した。

■インテリア

Private SpaceBoxは、床—ダークフローリング、壁天井—クロス。

2世帯の中間の位置するStudio 床—白タイル、壁天井—白AEP

    キッチンは「普通のアイランドキッチン」でなく外へ発信するスタジオとしての存在感を強調する為、黒ガラス扉+ステンレスカウンターを採用。アイランドキッチンは家の中心として集うダイニングキッチンをいつも創るが、このアイランドキッチンはスタジオとして象徴的に創り、ダイニングテーブルのないLDKを提案した。吹抜上部を見上げたとき、透明ガラスのパーティションを通して上に伸びる螺旋階段は、外からの光を取り入れると同時に外へ発信していく場となった。

    スタジオ空間のストイックな白は、外へ発信する場として、「無」から「有」を生み出す色であり、白は無限の可能性があり一番強い色でもある。

     

     

    ■外構

    初期段階の「結界の壁」発想から、大きく外部との境界をもたせた。

     

    その壁は、東のPrivate Space Boxの壁ラインーPrivateとPublicの延長であり、外に対しても外部との境界とした。その境界はグレーモルタルで表現し、外部との壁、建物に入る庇内側にも境界の意味で採用した。

    グレーモルタルの境界壁は庭へと続く緩やかな境界であり、対面にある和風旅館と庭の灯籠、樹齢80年の松をゆるやかにつなげる役目を果たしている。壁の庭面には周辺との調和を意識して「」を表現した水盤を創った。